『ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか?』読了感想
こんにちは、白嶋です。
『ワタミの初任給はなぜ日銀より高いのか?』
このタイトルに惹かれてすぐさま読み始めました。
実はこの本、タイトルはこんな感じでも「一般向けの法律書」となっています。
今の日本では「ブラック企業」「サービス残業」という言葉が当たり前のように横行していますが、それは決して普通ではありません。
現に過労死や仮想自死(自殺)が目の前で起きている以上、暗黙の了解にしてはいけないのです。
もし過剰な業務やサービス残業などに頭を抱える人がいるなら、この本を読むことをおすすめします。
なぜエリート職場である日本銀行より、ワタミの初任給が高く設定されているのか?
これは2014年時のワタミと日銀の初任給を比較したものです。
ワタミ 24万2326円
日銀(大卒)総合職 20万5410円
(本文より引用)
4万円近く初任給が違うなんて、「ワタミって儲かってるの?」と思ってしまいますが…
ワタミの24万円は、“基本給”ではない
実は、ワタミの24万2326円には『固定残業代』というものが含まれています。
(固定残業代とは、見込み残業代として残業の有無に関わらず支払われるもの)
実際に計算してみると、内訳としては16万円の基本給+8万2326円の固定残業代=求人に載せる初任給、というカラクリだったんですね。
入職前から、「これくらい払うからあなた残業してね」と言われているようなもんです。
比較当初は、ワタミのほうが4万円高いと思っていた基本給は、実は日銀のほうが4万円高い基本給が支払われているということですね。
「水増し給料」に要注意!!
求人ではこのように「水増しされた給料」がよく掲載されており、目先の給料だけで就職してしまうと後に痛い目を見る、というシステムになっています(; ・`д・´)
これでは見栄えだけよくて、ブラック企業と呼ばれても仕方ありませんね。
本文ではブラック企業の見分け方を説明している章もあります。
たとえば、離職率の高い企業、他の似たような規模の企業に比べて募集数が極端に多い企業、残業が多かったり有休消化率が低い企業、不安定なアルバイトを多数使用している企業、やたら「楽しさ」「やりがい」や精神論を強調する企業などは、要注意です。
(本文より引用)
確かに……!!!
私も学生時代、某パン工場で働いていましたが、『すぐ人が辞めてしまう(離職率が高い)から、いつも求人を出していて、日雇いでしかバイトは雇わず、必ず日給制』というブラックの温床のようなバイト先に勤めていました。
正社員募集の要項を見ても、結構同じような求人を出しているところありますよね。
今の時代、ホワイトな会社に勤めるほうが難しいのでしょうか。
会社が残業させるのは、「犯罪」って知ってました?
現在は週40時間労働制、一日8時間労働制が大原則となっています【労働基準法32条】。したがって、1週間のうち5日×8時間=40時間となるため、1日8時間労働制の場合は週休二日制が大原則となります。
そして、法廷時間外労働、法定休日の労働は規制され、意外と知られていませんが、会社が労働者に法廷時間外労働、法定休日労働をさせることは犯罪です。6か月以上の懲役または30万円以下の罰金が科されます【労働基準法119条】。
(本文より引用)
えっ、そうなんですか!!!???
と、労働基準法なんて役に立つのかよ~♪( ˘ω˘ )と生きてきた私は驚き…。
つまり、会社側はものすごい仕方のない理由(災害とか)がない限り、残業をさせると犯罪になりますし、今当たり前のように横行している「サービス残業」なんてもっと違法な行為なんです!!!
サービス残業という名の、“賃金泥棒”
もちろん、残業させちゃいけない、という決まりがあるということは、もし残業させてしまった場合、会社には残業代の支給義務があります。
なぜ、労働基準法という強い規制があるにも関わらず、長時間の時間外労働や休日出勤は改善されず、これに対する残業代も出ないのでしょうか?
“サービス残業”が横行している背景に、「経営が苦しいことはわかっているだろう」「半人前で利益出せないくせに権利だけ主張するのか」「残業ではなく一人前になるための修行だ」「仕事が終わらないのに放り出して帰る気か」など、様々な「空気を読め!」の理屈があります。会社や管理職が労働者に対してこのようなことを正面から言ってくる場合もあり、現実には労働者が権利行使できない場合が多くあります。
(本文より引用)
まさに日本の現状を数行で表したかのようです。
ですがこれにはすっきりする続きの文章が載せられています。
しかし、これらこそまさに屁理屈です。会社や管理職が経営者・管理者として、法律を遵守し、労働者の業務量や労働時間を適切にコントロールする力を持っていないことを告白しているようなものです。また、口でいくら「残業代はでない」と言ってみたところで、労働基準法で定められた残業代を請求する権利がなくなるわけではありません。未払い残業代は会社の負債として累積していき、労働者が“反乱”を起こすと、一気にツケを払わされることになって利益が吹き飛び、ときとして倒産に至る場合もあります。
(本文より引用)
皆さん、本当はいつもの給料よりもっと多めにもらえていたかと思うと、ほんの少しは悔しいですよね(; ・`д・´)
だって、サービス残業なんて可愛い言い方しても、違法な不払い残業を当たり前にされているんですよ??
本当なら普段の給与明細に、数千円~数万円上乗せされていてもおかしくない。
それを、不当に未払いのまま「残業代なんて出るわけないじゃん」と言い切るのは、法律の事を知らない上司なのでしょうか?それとも、知っているけど「払いたくない」上司なのでしょうか?
問題は、「残業代を請求すると会社にはいられなくなる」という日本の陰湿なところ
しかし、問題なのは就業中に「未払いの残業代ください」と言い出せる日本人がどれくらいいるか、という話です。
上司からの説教や同僚からの白い目は当たり前のように喰らうでしょう。
そんな中でも勇気をだして訴えた人は、違法に解雇された事例もあるのだとか…。
欧米諸国などが、『職務(ジョブ)の内容を明確に定めて契約する』形態であるならば、
日本の雇用形態は『職務内容は明確に定めず、企業の一員(メンバー)になるメンバーシップ契約』であり、長期雇用や年功序列など日本特有の形態に帰結します。
しかし、それは高度経済成長期あたりからの話であって、現代の日本の雇用は少しずつ変わってきていると思いませんか?
昔の日本企業が、社員の家族の面倒までみるぞ!という構えだったのに対し、現代の日本では
- メンバーシップの外側にいて保護のない有期雇用・派遣などの非正規労働者の増大
- 成果主義賃金の導入
- 労働組合の弱体化
などによって、労働者の地位が昔より低い場所にあります。
企業の労働者に対する強い命令権だけが維持される一方、長期雇用や企業内での労働者育成を前提とせず、企業が労働者を使い捨てにする企業の存在も顕在化してきました。その最たる例がブラック企業なのでしょう。
(本文より引用)
といったように、労働者の地位が下がったことで、必然的に企業側が強い地位に立ちました。
でも、だからといって、法律がなくなるわけじゃないんです!!違法は違法なんです!!!
「権利の上に眠るものを法は保護しない」
この格言、ご存知でしょうか?
私も今回、この本を読んで労働基準法に定められている内容を知り、改めて「残業は違法」ということを学びましたが、
法律は「知らなーい」と言ってる人を勝手に動いて助けてはくれない
ということですね。
無知は罪とも言いますが、知っていることが増えれば、人生はより豊かになります。
そして、もし今勤めている会社に不満があって辞めたいと考えている方がいらっしゃるのであれば、しっかりその現状を打破する法律や事例を見つけるべきです。
その内容が「サービス残業が多い」「休日出勤が多い」という悩みなのであれば、今回ご紹介した本に残業代の計算方法やどうしたら未払いの残業代を受け取ることができるのか、自分は何を用意したらいいのか、一日の中でどんな時間を残業代として請求できるのか、など詳細に載っていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ちなみに、時間外の朝礼や接待なども残業代として請求できるの、知っていますか?
というわけで、今回は残業代や労働基準法について新しい知識を得たのでご紹介いたしました!
閲覧ありがとうございました!