時は金なり、人生はサーカスなり

医療職だったライター、副業で生きてる 徒然なる本音をずらり

うつ病17人を漫画にした「うつヌケ」の世界観に感動!

 

こんにちは、白嶋(@idol22ws)です。

 

皆さんの周りには、うつ病になってしまった人はいますか?
または、自分がうつ病や適応障害などの心の病を抱えた経験がありますか?

よく本屋さんでは、「○○をすればうつ病はすぐ治る!!」「こんな私でもうつ病を治せた!」などという本を見かけますが、正直言って私には「夢物語のサクセスストーリー」にしか思えなくてピンとこない、というのが本音でした(笑)

私自身が適応障害やうつの症状を経験しており、今もなおその症状を繰り返しながら日々生きています。

 

今回ご紹介したい本「うつヌケ」には、作者を含めた17人のうつ病体験記が載っています。
それぞれのうつ病になった原因はまったく違うもので、「わかるわかる!」と共感できるものから、「へぇ〜!こんなパターンの症状もあるんだ…!」とうつ病に対する新たな発見もありました。

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うつヌケ 著者:田中圭一 楽天Koboより引用

結論から言うと、この「うつヌケ」を読むことをオススメするのは、

  • 一度うつ病や適応障害などを経験したことがある人
  • 自分の周りうつ病にかかっている方がいる人

今もなおうつ病や適応障害の症状と戦い続けて、生活が苦しい…何も楽しくない…という人にはあまり向かない気がします。
その理由も、自分の体験談を踏まえて説明していきますね!!

 

 

実際にうつ病の症状を経験した私の感想

私が特に共感したのは、この本の作者である「田中圭一」さんのうつ病体験。

心が病んでしまっていた時は、毎日泣いて過ごして、外に出るのも怖くて、誰かと関われば自分の情けなさを痛感して……と、本当に生産性のない毎日を過ごしていました。

 

だからこそ、私が上手く言語化して説明できなかった、「今こういう状態で、だから辛いんだ。苦しいんだ」ということを田中さんは本当にわかりやすい絵とストーリーで説明してくれているんです。

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うつヌケ 著者:田中圭一 楽天Koboより引用
このように、「電気椅子に縛り付けられたような恐怖を感じる日々」という言葉などは、本当に的確で秀逸だと思いました。
他にも「うつは心の風邪なんかじゃない、心のガンだ」などという言葉も、私の心をスッキリさせてくれましたね( ˘ω˘ )
 
そして一番私が知ってほしかった症状が書かれていた!!
それがこちら!!

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うつヌケ 著者:田中圭一 楽天Koboより引用

「脳みそが濁った寒天で覆われているような感覚」というのは、本当に共感し理解できました!!

誰かと何かを話していても、頭の中に言葉が入ってこない。ぼんやりとした思考回路の中で、必死に何か言わなきゃ!!と考えるけど、やっぱり上手い言葉がみつからない。

この時ばかりは、本当に自分を責めて、責めて、責めまくりました。「なんで日常会話すらまともに出来ないんだよ、立派な大人のくせして」と。

 

でも、だからこそ、この本は今まさにうつ病と闘っている人には読むことをオススメしない。助けてほしい気持ちは痛いほどわかるし、一筋の光でも頼りにしたい気持ちだって泣けるほどわかります。


でも、やっと見つけたと思った頼みの綱も、自分の頭の中にしっかり入ってきて理解できなければ、きっと「またダメだった」「自分はどうしてこうなってしまったんだ」と責める原因にもなりかねません。

 

私が今うつ病や適応障害と闘っている人に伝えたいのは、「あなたをうつに追い込んだものから今すぐに離れてほしい。逃げてほしい。好きなことをしていいんですよ」ということ。
ただそれだけです。

 

 

「うつヌケ」の良いところは、ヌケ方を断定しないところ

この漫画「うつヌケ」のミソは、17人の体験談が全然違う環境でうつ病を発症し、しかも完全に治った人ばかりじゃない!!というところ。

私も絶賛経験中の、なぜかふとした時に症状が再発する、という現象。
それは、うつ病の方ほとんどに見られることなのだ、と漫画を読んで学びました。

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うつヌケ 著者:田中圭一 楽天Koboより引用

漫画の中では「突然リターン」という表現をされていました。

だいぶ気持ちが楽になってきて「良くなったかも!」と思っても、本当にちょっとした引き金で気分がガツンと落ちて逆戻り……
ということが私にもよくあり、その度に自分を責めてしまいます。

 

だから、本当の意味でうつ病をヌケたという人は登場人物の中でも少ないようでした。
それは、ものすごいリアリティのある話で、信頼できる漫画かもしれない、と思う一要因にもなりました。

それでも、一度はうつ病になった人たちが今はどうやって元気に生活しているのか、突然リターンが来たらどうしているのか、それぞれの方法があって面白い!!

 

私も、きっとあと数十年はこの症状と付き合っていくのかもしれないな、と覚悟を持つようになりました。
そんな中で、実際にうつ病になった人が今のスタンスを公開しているのを知ることができるのは、とても嬉しいことだと思いました。

 

 

「うつヌケ」を見てほしいのは、うつ病患者の周囲の人!

なぜ、実際うつ病になった人や今実際にうつと闘っている人じゃないのか?

周りの人に見てほしい理由は、うつヌケの内容は「うつ病の人が見ている世界」を描いているから。
まるで、別世界に生きているような感覚なんです。同じ空を見ていても、きっと映っているものは全く別物だと思います。

 

だけど、さっきも言ったようにうつ病にかかっている時は、頭が本当に上手く働いてくれなくて「自分は今こういう状態なんだ」と説明ができないことも多い。
だからこそ、うつヌケを読むことで、周りにいるうつ病の人が実際にどんな世界を見ているのか知ってほしい。

 

見た目でわかる病気なら、少しは理解を得ることができたかもしれない。
みんな同じ環境で発症して、みんな同じ症状なら、少しは対応も統一できたかもしれない。

でも、うつヌケを見て私は改めて、うつ病というのは十人百色くらいのパターンがあるなぁと思いました。

周りの人だって、どう対応したらいいかわからないというのが本音だと思います。
だからこそ、うつヌケの体験談では「僕はこういう状態だった、その時こう言ってもらえて楽になった」というストーリーが人数分載っていることは、本当に貴重な言葉だと私は思います。

 

 

「うつヌケ」は単なるサクセスストーリーじゃない!!

これが一番のオススメどころですね!

うつヌケは決して、「こんな僕でもうつ病を治せた!だからみんなも治るよ!」って漫画ではありません。

 

むしろ、綺麗な話ばかりではないです。
死に場所を探しに旅に出た人とか、実際に首を吊った人、離婚やブラック企業への転職、うつによる企業の失敗など、うつ病を取り扱った本らしいリアルな話がズラリと並んでいます。

紆余曲折しながらうつ病と格闘しているのは自分だけじゃないんだな、と思えました。
そして、今はだいぶ回復した私でも、「突然リターン」がやってきて気分が落ちた時はどうしたらいいのか、などという方法も何度だって読みながら学べます!

 

 

漫画仕立てで読みやすく、さらに様々なうつの症状、ヌケ方、戻り方などが書いてあり、共感も納得も勉強にもなりました!!

私もまさか自分が心の病を抱えるとは思っていなかった一人なので、こういう理解を深められやすいような本が普及していったらいいなと思います( ˘ω˘ )

 

 では、閲覧ありがとうございました!